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日はまた昇る!(16)雨に濡れれば

雨のなかピレネー山脈を文字通り歩ききって、この日はロンセスバジェスのアルベルゲに泊りました。修道会がやっている、と書いてあったような気がするなーと思いました。
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ここは修道会の建物を利用したアルベルゲであるのですが、別にファーザーやシスターがお迎えしてくれるわけではありません。ボランティアによって運営されているのです。彼らは赤いヤッケを着ています。
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名札がドイツ人っぽい苗字の人が目立つ。基本的には英語での対応。スペイン人的な「オラ!アミーゴス」な感じではない。あとで知りましたが、彼らはオランダ人のボランティアグループ。
びしょぬれ、足元ぐちゃぐちゃでやってくる私たちに、登録する部屋に入るためには靴をぬぐように、と。下駄箱は大混乱。とりあえず、入れる。高校時代のアメフト部の部室の匂いのような感じ(爆)。濡れたリュック、当然ながら汚れたストックは廊下に置くように、と。げげげー、なくなったらどうするんだろう?!私は小さなリュックだったからか、なんとなく見逃されたようだけど・・・。

記録のためには写真を撮りたいところだけれど、みんな疲れて下山している。そこをカメラに収めて「なんなんだ、あのアジア人は!」と思われるのも困る。ということで心のカメラの記憶しかないけれど、みんな、もう歩かなくていいんだ、という安心した顔だった。

これは翌日、出発前に撮った、オフィスの写真。
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登録の部屋は改装されていてとっても素敵。

私はアイダたちと列に並んだものの、ここからは、それぞれチョイスが違ってきた。私は、夕食は早く、朝食はあっさりと。アイダたちは夕食は遅く、朝食はたっぷりと。彼らはカップル。私はシングル。そして別々のコクーンと予測される番号札や食事のチケット、私は翌日も荷物を預けたかったのでポーターサービスに必要な袋(そこにお金をいれておく)が渡されました。
注意として、コクーンでは絶対に食事をしてはいけない、と強く言われました。

荷物が届くまでしばらく時間かかるので、まずは食事。背中のリュックを下ろし、中をあけます。そのとき、サンドイッチ(バゲットにハムがたっぷり挟んである)の包み(紙)が湿っぽいことに気が付きました。
え?え?え?濡れてる?
でも、カメラはジップロックに入れてあるし、大丈夫なはず。まずは食事だわー。
私よりは年長でSNSには関心の薄そうな日本語話者の比較的多い場所に座ることになってしまったので、ipodでサンドイッチの写真を撮っておくのは避けた。とにかく、あまり目立ったことをしないようにしておかなくちゃ、とか、どうせ明日もまた食べるはずだし、とか、そのときなりの理由をあれこれ頭の中で思い浮かべ・・・。

で、仕事のために(この日だけはどうしても東京から届くPDFを見て判断しなくちゃいけないことがあった)夕刻に再び飲食ルーム(?)に入った。人気のないときだったので一枚パチリ。古い建物だった時代の壁も活かした作りです。
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預けておいた荷物を納屋のようなところまで出向いて引き取り、コクーンへ。札をもっていないと中にいれてくれないし、ちょっとでも足もとが汚れていると怒られる(笑)。まるで散歩から帰った犬になったような気分。でも、そうしたくなるほど、中はまだ新しい感じ。

この日のコクーンは4人で一つ。
これも翌日出発直前に撮った写真
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奥のロッカーは小銭で開け閉めします。貴重品は安心しておける~。
ベッドへ行くと、今日も2段ベッドの上であることが判明。一応2段ベッドの端に40センチたらずの板がついていて隣のコクーンと仕切られています。(この写真も翌日撮影)
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下の男性はサングラスをかけっぱなしであまり愛想がない。そして、窓際のちょっとした台や窓の角を使って自分の濡れたのをあちこちにかけている。私もゴアテックスの上下だけはかけておきたかったのですが、はてさてどうしたものか・・・。

すると「かけるか?」みたいなジェスチャーが。私の身長(158センチ)ではとどかないので、彼がかけてくれました。

そうだ!リュックも干しておかなくちゃ!
と、その日背負ったリュックの中身を出すと・・・。
ジップロックは当てにならない、と書いてあったサイトがあったことをそのときになって思い出しました。
私なりに、考えて詰めたはずだったけれど。じゃなくて、レインガードを付けずに歩いてた私がいけないのですけれど。

リュックの中まで雨は染み込んでいました。
その日入れていたものは、ジップロックにいれておいたカメラ、サンドイッチ、その日使わないお金をしまった布財布、小銭が入っている布財布、クレジットカード入れになっている革の小銭入れ、日本円と封を切ってないユーロ、メモ用のノート、ボールペンが入ったネックポーチ、怪我をしたとき用の応急手当の道具(傷用塗り薬、バンテリンの塗り薬、バンドエイド)、日焼け止めとハンドクリーム、リップクリーム、鏡(コンタクトがずれちゃ困る)を入れた布製のポーチ、サングラス。ほとんどはジップロックに入れたり、ビニール袋にいれておいたのですが・・・。

食事中から一番気になっていたのは、ジップロックにいれておいたカメラ。やややー!なんとなくだけど濡れてる~。それでもリュックの真ん中にいれておいたから、雨が降った日にシャッターを切った時ぐらいのことで済みましたが・・・。
使いやすいところに入れておいた布財布、皮財布はびしょぬれ。
ま、まさか!とファスナーを開けると・・・お札も濡れてました。

か、乾かさねば!
ネックポーチは大丈夫よね~・・・・じゃない。これも濡れてる!外側のほうにおいてあったしねー。

慌ててあれこれ取り出します。私、一つだけ偉かったとおもったのは、怪我をしたときの応急手当袋こそ濡れてましたけれど、バンドエイドはちゃんと小さなジップロックにいれてあったので、2重ガードのおかげもあり、これは濡れなかった。
ちなみに、レインコートの中で斜めかけにしておいたサコッシュの中は、その日使う予定のお金(ビニール袋に入れておいた)、パスポート、ipod、日本から持ってきたガラケー、そして、最終目的地で「ちゃんと歩きましたよー」の保証書替わりになるクレデンシャル。こちらは無事でした。

なんとなく、あちこちからシャンプーのいい香りが。みると風呂上りのようにさっぱりした人たちが廊下を行きかっている!

一旦、お金はロッカーにしまって(スーパーの袋に入れた)、シャワーを浴びて戻る。ここは男女別。良かったー。
再び、お札を出して広げる。
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諭吉、染みてるし!っていうか、日本のお札って濡れたらこうなるのねーとしみじみ観察。

高見の見学よろしく、窓辺に私や彼が干したレインコートでも撮ろうかな~とカメラを構えて気が付いた。おっさん、下着も干してる!。個人情報ダダ漏れすぎ!ちょっと愛想のない人だったから、写真を撮ったのがわかって怒られたらいやだなー。

ふと見ると、コクーンの入り口に洗濯紐をかけて、これまた、「色々」と干し始めた北欧からの初老女性が。一番最後にやってきた彼女、たぶん、周辺のコクーンの状態をみたからなのでしょうね。
彼女、ばっちりと「つけま(つげ)」+「アイライン」で装備していた、15年ほど前の渋谷では「やまんば」と呼ばれていたメーク。前日の宿も一緒で、気が良い人だとお見受けしたけれど、北欧だから大胆、というつもりはないけれど、ゴージャスな体型に見合った素敵な下着が入口にかかっているのは・・・あの、愛想のない彼には刺激的すぎるんじゃないかしら・・・。でもここしか、確かに干せないわよねーと、彼女が紐を張っているのには、ある種の感心も。
私のベッドからは、隣のコクーンもそうしているのが見えた(その程度の高さの仕切り板なのです。つまり寝顔が見られない、程度のもの)。隣は4人が知り合いらしく、はしごにもかけている。すると、ボランティアのおじいさんが「洗濯物は地下へ!」と一つ一つコクーンを回っては注意をしています。

実は私の両隣はどういうわけかアジア系の人が多いコクーンだった。おかげで、彼はゆっきりと英語で注意をしてくれたので、あらかじめ私も聞き取れました(笑)。さて、私のコクーンでは、まずは2階でお札を前に途方に暮れている私に声がかかります。両隣のアジア系の人が干している、となれば、きっとあなたもでしょう、と思われちゃったかな?「サイズが違うの、わかります?」と思わずいったらおじさんがニヤリ。すると、当のゴージャスおばあちゃんが戻ってきた。遅く来たから干すところがない、と反論していると「地下に干すこともできるし、有料サービスでラインドリーもある」とピシリ。彼女が紐を外すまで見守ります。
「ここは、寝たり休息するところだからね」という彼の一言に、妙に納得した私です。

個人的には、私は「人目に触れるのは恥ずかしい」というものは持ち歩かないから、どこで干してもいいのです。ホテル泊と違って、速攻で乾かなくてはいけない・・・ということで、今回は歩いている間はメッシュのミレーのブラスリップを。宿についたらユニクロのブラトップに着替えた。山歩きが長かった昔の女性上司が、1週間ぐらい下着を変えないことは普通だ、と言っていたから。あとは、山の時だけは、パッドを当てた下着を履くようにしています。これは、災害時にボランティアに入った女性から聞いたアイデア。3日ぐらい同じパンツだってパッドさえ清潔だったら大丈夫、と。女性は月に一度はそういう時期があるのだから、と。ボランティアの方はおむつをして活動する方もいらっしゃるとか!
私は、学生時代の旅行で、ユースホステルに慣れているからか、欧米の人が薄着どころか一糸まとわずみたいな恰好で寝ていたとしても気にならない。自分がしないだけ。
干してある下着をまじまじと見る気はしないけれど、なるほど、欧米の人はこういう形のを着るのね、という傾向がわかる程度にはチェックを入れる(笑)。

ああ、ドライヤーがあったら髪の毛もだけど、お札がすぐに乾かせるのになーと思っていたら、今度は廊下を「ドライヤーある?どっかにあるの知ってる?」と聞いて回る男子が。どこからも当然ながら「ない!」と。どうしたのか、と北欧おばちゃんが尋ねると「彼女が靴下を乾かしたいんだって」と。

たぶん、予備もダメにしちゃったのかもね。
「地下へ行って乾かしてもらうといいよ」と誰かがいうと「でもお金、かかるじゃん」と。確かに!隣の日本からのおじさまは「あー、やだね、自分のドライヤーで靴下を乾かされたかと思うのは」ですって。

私はその昔、ネパールでそれしたことありまして(ホテル備え付けのドライヤーで)、この彼女ちゃんの気持ちはよーくわかります。ほんと、最後しっかりと乾かしたいときにはドライヤーって便利なんですよねー、と言ったら「え?」と若干嫌そうな顔をされてしまいました。あはは。でも、乾いてない靴下なんか履いたら靴擦れしちゃうわけだし!生臭い靴下のほうが迷惑!

そうこうしているうちに、夕食の時間が近づいてきました。


by eastwind-335 | 2017-10-29 08:13 | 旅の思い出17ヤコブの道 | Trackback | Comments(0)

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