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今年も聴けるのを嬉しく思う

彼の記事を目にするたびに、彼の映像を目にするたびに、ああ、どうして、もっと前に彼の演奏を聞いておかなかったのかと思うのと同時に、ああ、今の彼の演奏に立ち会えてうれしいと思うのです。

彼とは、左手のピアニストとして脚光を浴びている舘野泉さん。
10年前、脳出血のために右手を含む右半身がマヒするというアクシデントにあいました。

結婚前の私は彼のエッセー(バブルで浮かれポンチな日本に向けて、ヨーロッパ、それもフィンランドという日本が当時軽視<いまでこそ、北欧ブームですけれどね・・・>していた国から鳥瞰したエッセーを新聞で連載していたのでした)に魅かれていたものの、そして彼がピアニストだとも知っていたのに、彼が来日するときに演奏を聴きに行くこともなかったのでした。

6年前、ちょうど家人が長期海外出張で家を空けることになり、私自身の時間の使い方も大きく変わった時に、再び彼が積極的に活動を再開したのでした。
以来、ブログに書かなかった時もありますが、1年に一度は舘野さんのコンサート(単独なり、共演なり)に行っています。一度どうしても行けなくなったときがあり、音楽好きな当時いたアルバイトさんにチケットをあげたら「行って本当によかった!」と感謝されたのですが、私といえば、行けずに口惜しかった(笑)。

今年も彼の演奏を聴く機会がやってきました。今年はなんと息子さんとの共演。
しかもライブハウス!
そして、先週、NHKの「クローズアップ現代」でも舘野さんの特集がありました。なんというタイミング!
6年前から、時々NHKでは彼のことを取り上げたドキュメンタリーを制作しています。最初の1作は放映に気付かず、テレビを点けたら始まったという感じだったので録画できませんでしたが、昨年、今年のドキュメンタリーは録ってあります。
6年前は演奏後、話をすることもなく、ただ頭を下げて感謝の気持ちを伝えるだけでしたが、徐々に、右手を添えて演奏をなさったり(少し動くようになったそうです)、または笑顔でお辞儀をして、そしてドキュメンタリーでは会話も不自由なく・・・。海外の子供たちに音楽を教えに行くなどのドキュメンタリーを見て、そして彼の小自伝(左柱のプロフィールやエッセー)を読むと、音によって人とつながる楽しさがこちらまで伝わってきます。

私が1年に一度、舘野さんの演奏会に行くことは、自分自身の確認にもなります。私も頂いたものを大切にしていまを一生懸命生きてますか?と。

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ヤンネさんは舘野さんの御長男。
時々、お父さまのドキュメンタリーに姿が写りますね!
優しい子です、とインタビューで息子さんを紹介していましたが、本当、ステージでの態度は素直で優しいオーラが出ていました。そして演奏も素直な弾き方で、あんまり素直すぎてびっくりするほど。
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会場は六本木のSTB139というライブハウス。
2年前にもここでコンサートがあったそうです。18時から開場、19時半から開演でしたが、その間にみなさんお食事をなさるようで、19時前に会場入りした私、もう後ろのほうの席しかありませんでした。私は、あまり空腹でなかったので、ブレンドコーヒーだけ頂きました。SBが経営しているだけあって、コーヒースプーンにはカルダモンが。
そして聴衆といえば、いやー、日本で最初にファンクラブができたクラシック奏者としても有名な舘野さんらしく、年齢の高い方々が前のほうにずらーっと。奥さまとご一緒の殿方もかなり多く、若い人はほとんどいませんでした。多分over40だと思う。
女性だけのグループはすごくって、舘野さんが「こんばんは」とステージから話しかけると「こんばんは~♪」と明るい声でお返事をされていて・・・(え?と、私はちょっとびっくり)。

私がこれまで行ったコンサートは、いかにも「コンサート会場」だったのですが、ここライブハウスでの演奏会は、場所柄なのか舘野さんの解説やちょっとしたお話が入り、とても和やかな感じでした。これまでのコンサートで聴いていた曲の誕生秘話とか(美智子皇后の一言がきっかけ!)、曲の解説も具体的な話を加えていらして、文章だけでなくお話も上手なんだ~と感動。
今年の大河(平清盛)のテーマ曲も弾いていらっしゃるそうで(私は大河ドラマ自体をみないので、テレビのオケとの共演版は未聴)、今回はテーマ曲を作曲された吉松さんにピアノ用にアレンジをしてもらったもので演奏がありました。ドラマについての言及はなし。
息子さんにもMCをさせていたのですが、演奏中とは違って、ピアノのほうに気を向けているふりをして、息子が困っているのをわざと知らんぷりするお茶目な面を見せたり、MCの後に息子さんがちゃんとマイクを切ってあるか後ろを振り返ってご自身で確認するなど、父の顔もあり・・・。
最初から最後まで温かいコンサートでした。
今年から来年にかけては精力的なコンサートが続くようです。また小さいサイズのものに行ってみたいです。
by eastwind-335 | 2012-05-28 23:13 | Musik | Trackback | Comments(0)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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