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結びつく

もうそのものに出会っていたのに、気付かないことはよくあります。
しかし、ささいなきっかけで、出会っていたことに気付くこともある。

昨日、美容院の帰りによった松屋の催事場で、バーナード・リーチたちの影響を受けた出雲の出西(しゅっさい)釜の器を買いました。
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私は結婚の時にそろえた食器、家事に不慣れだから、ということで割れてもいいと安い食器を揃えたのですが、なるほど、高い食器ほど割れやすいとは良くぞ言ったもので、ほとんどの我が家の食器は現役です(笑)。結婚当時は人が来る家にしたいと思いましたが、実際には休日こそ人に会いたくない、という生活になり・・・。新しい食器を買う理由もなく・・・。
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数年前にも同じ催事場で同じ場所で見た釜。その時と同じ印象、つまり、構えのない器であると同時に、釉薬によってまるで日常の天目茶碗のような輝きが。今回、釜の説明書に、バーナード・リーチなどの教えを受けた釜とあったのも、手に取る後押しとなりました。釜が始まった1947年という時代に思いを馳せるだけでも、同人たちが農家の次男、三男だったと知るだけでも、どういう心意気でこの釜を青年達が始めたかが想像できます。

結びつく_a0094449_8424281.jpg先日、図書館で柳宗悦が朝鮮半島の美を発見するまでの軌跡を描いた小説を読みました。
新着図書コーナーにおいてあったから、この本の存在を知りました。
柳宗悦といえば、民藝。用の美という言葉で有名。あの時代の日本人としては珍しく朝鮮の文化に関心をもった(光化門保存運動など)人。
工業デザイナーである柳宗理の父。公共教育放送の園芸の時間に長らく登場していた柳宗民の父。
バーナード・リーチの親友
それぐらいは知っていたけれど、その程度のことしか知らなかった。


私は彼のことを美術評論家かと思っていたのですが、むしろ宗教哲学者であること、幼い頃から文の立つ少年で、『白樺』の中心人物の一人であったこと、ウィリアム・ブレイクなどに傾倒したこと、などなど、色々と興味深い話にページが進んでいきます。
何故、彼が朝鮮半島の文化に関心をもったのか、なぜ光化門保存(移転)運動が成功できたのか、小説仕立てにしては、柳の人脈、政策の両面からきちんと描かれ、なるほど、と。人のつながりの面で言えば、犬養道子の小説(自伝)を読んだ時にも思った、大正、戦前の人間関係の機微に通じるところがあり、双方は「白樺」(学習院)でつながり・・・。どんどん私の頭のなかで、人やものやコトがつながっていくのが感じられました。
さらに、奥さんが、日本を代表するアルト歌手であり、朝鮮半島に西欧音楽を伝えた第一人者ともいえる存在であることなどを知りました。結婚して、子供がふたりいるのに、子供と宗悦を残してドイツへ(期間限定とはいえ)留学するまでのくだり、あの時代にそんなことができたとは、そして、ドイツでもきちんとした評価を得た女性であったと知り、同じ女性として深い感動を覚えずにはいられなかったです。音楽の分野では彼女は有名な歌手なのかもしれませんが、三浦環ぐらいしかしらないワタクシは、新鮮な思いで読み終えました。
Commented by akberlin at 2009-08-24 13:56 x
あらぁ、ステキな器・・・。

ウチもどうせ割るから、というのもあったし、相方が実家からもたされたのやらワタシが実家からもたされたの、そういった寄せ集め食器ばかりで
買うのも安物ばかり・・・でもねぇ、食器がいいとおいしそうに見えるって
言うのもあるのよね。

宗悦、ウィリアム・ブレイク、バーナード・リーチ・・・イギリスが恋しい
ですなぁ。イギリスには今でもリーチの守った窯があって後続の
作家が活躍しているとか。セント・アイヴス。イングランドの南西の
外れ、地の果て(Land's End)なんてとこもあるあたり。いつか
行ってみたいところです。
Commented by eastwind-335 at 2009-08-25 02:35
akberlinさん、こんにちは。
私も、引き出物の女王みたいな感じでしたので(えへん!)、もうそれでいいかなーと思っていたのですが、母が「あちらのお母さんに貴女の趣味でないものを渡されたら断れなくなるから、とにかく先に買っちゃいなさい」と勧められてそろえたもの。和食器は二人分だからいいんですけれど、洋食器・・・3人分は使わないまま(笑)。

セント・アイヴス・・・いい響きですね。私も地の果てに行ってみたいと思ってます。その前にエーゴをどうにかしなくちゃいけません・・・。
Commented by penguinophile at 2009-09-16 02:40
今更こんな昔の記事にコメントしてもいいでしょうか、っていうか気付いていただけるのでしょうか(^^;。アメリカからお帰りなさい&韓国いいなぁ~。

ウチは夫が大学に入った時に買った「丈夫だけが取り得」食器が現役。子供達に割られてもむしろ嬉しいのが利点!?しかし割れた場合には夫の実家から放出された食器が取って代わるらしい・・・

で、コメントしたのは、「地の果て」行ったことありまーす!って自慢したかったから。コーンウォールを一週間くらい一人で旅行して現地ツアーに加わり、石の遺跡を見たりダウジングに初挑戦したのでした。すごく楽しかったのでまた行きたいですが、その前にアイルランドを再訪したいかな。まぁどっちも当分難しそうですが夢を見るだけならタダだし♪
Commented by eastwind-335 at 2009-09-20 09:37
penguinophileさん、こんにちは。
コメントありがとうございました。
まあ、コーンウォールにもお出かけなさったんですね。いいなあ。私もイギリスへ行ったら今度こそ、と思ってます。
しかし、うちの家人はイギリスが嫌い(新婚旅行の時にロンドンの店先で人種差別的な嫌な思いをしたそうです。同じ店に私もいたけれど、鈍感なのか私は全く気付かなかったけれど)。出張も絶対に避けているんですよねー。

願えば叶うといいますから、penguinophileさん、いつか再訪できますよ。案外早い時期にそうなるかもしれません!
by eastwind-335 | 2009-08-23 07:03 | Books | Trackback | Comments(4)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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