冒険好きなおばあちゃま

本日はラム肉をマデイラ酒をつかって料理するつもりでいました。
正直言って、仕事に集中していない間、つけ合わせは何にしようかとか、パスタがいいか、ご飯がいいか、それとも、クスクスを買おうかしら・・・とか、

お兄さんが「(WBCで)オランダがドミニカに勝っちゃったよ~!」と報告にこようとも、
お姉さんが「まったく、他の部署がなぜに私の仕事に口を出すぅ~」と怒髪天を突きそうになって(ショートカットなのでそこまで届かないんですけれどね)いる時も

「うわあ、大変ですねえ」と相槌を打ちながら今晩のおかずの作り方の手順を脳内シュミレーションしていた私でしたが、今晩は、できあいのお寿司(しかも値引きされてた)となりました。

というのも、職場から最寄り駅まで歩いていたら、不思議なおばあちゃまに遭ってしまったからなのです・・・。



私の職場から最寄り駅までは、バスに乗るか、徒歩で住宅地を抜けて駅へ向かうかの方法があります。駅前のどこに出たいかで、住宅地の抜け方が変わって来ます。そして、私が歩いていた道は、普段とは違うルートでした。
もう6時半ちかくの住宅地は門燈がともり、お夕飯の準備が進んでいるのか、どこからともなくいい匂いがします。
a0094449_4541175.jpgこの住宅街はお屋敷街とまではいかないものの、かなり「いいところ」なのだそうです(同僚談)。そこを、私はなんちゃってipodでGroenemeyerのGluckを聞きながら歩いていました。この曲、彼の最新曲なのですが、なんともいいバラードなんですよ~(と私は思う)。
>こちらをクリックすると、貴方地下鉄に収まっている「賭けちゃう?」でのライブ映像が見られます

すると、向こうから小さなおばあちゃんが歩いてきます。そして、私に何か話しかけてきます。イヤホンを外して腰をかがめて話を聞こうと、おばあちゃんの顔を眺めました。とても上品な顔立ちで、さり気なくお化粧をしていて、髪もきちんとまとめているし、身につけているコートも清潔で身体にあったもの。この辺りの奥さんなのかな、犬でもいなくなったのかしらと思っていたら・・・、ニコニコとした表情で

「あのう、少々お伺いしますがね、千葉にはどう行ったらいいんでしょうかね?」と尋ねてきます。

ち、千葉ぁ?と内心びっくりしましたが、千葉のどの辺りか尋ねると、「××」果てしなく成田空港に近い町の名前を言いました。「そこに家があるんですよ~」と。

あらら、どこのお宅のおばあちゃまだろう・・・。迷子のおばあちゃまだ、と思いました。
「おばあちゃま?、お宅はお近いのでしょうか?」と丁寧に尋ねると「私の家は××なんですよ。だから電車に乗らなくてはならないんですよ。××はこちらの方面でしょうかね」と、動揺することもなく返事をします。

何か持っているものはないかと確認しても、手ぶらできた、という。あらら~と思ったら、「警察に聞いたら、どこにあるか教えてもらえるのでしょうかね」と彼女のほうから言い出すので、渉りに舟とバス通りにある派出所へ向かいます。

ところどころで、この辺りは××のどの辺でしょうと聞かれたり、誰かとすれ違うと「よくお会いしますね」と(大抵、相手は変な顔をしておばあちゃまに見えないように首を振ったり、口の形で「(私は・ボクは)知らない」と言ってました)あいさつしたり、中学生たちに派出所の場所を尋ねたり、急に、どうこうする私の帰宅が遅くなることを心配したり・・・。その間、私に「お嬢様」って呼びかけるのです。
うわー「お嬢様」だなんて、どーしましょー。おばあちゃまったら、もう夜だから私の顔に広がる加齢のシミに気付かないのか、上品版「み×もんた」なのか・・・。本来だったら、「ウワー、大変なヒトを引き受けちゃったかも」と思うのでしょうけれど、ま、職場でも「不思議さん担当」と一部から言われている私、そんなおばあちゃまの一言一言に面白さを覚えながら、派出所までゆっくりと歩いていきます。
すると、彼女が「私はね、冒険が好きなんですよ。この道を歩いたら、どこへつながるのかなあ、って思いながらね」とか「ああ、またお巡りさんに、「おばあちゃん、またアンタかね」と叱られそう」だとか言い出し、私にもどうも常習犯であることがわかってきました。
見たところ、彼女は髪も乱れてないし、足取りもしっかりしているので、そんなに遠くから来たとも思えなかったのですが、別の区や市からトコトコあるいてここまで来てしまったら・・・ということが心配だった私、ああ、よかった。派出所に行ったら、この彼女の身元はすぐにわかるはず、とホッとしました。しかし、おばあちゃまは名前を尋ねても言わないし、住所を尋ねても、やっぱり「お嬢様、××へはこっちの方向なのかしら」を繰り返すばかり。

ようやくたどりついた派出所にはおまわりさんはいませんでした。パトロール中なのかな。本署につながる電話で事情を説明して二人で待っていたら、本署からと派出所所属のおまわりさんがほぼ同時に登場。そして、おまわりさんたちが彼女に名前や住所を尋ねると「何丁目の〇〇です」と答えます。本署から来たおまわりさんが「ああ、〇〇さんちのおばあちゃんかね、わかったよ、送っていくよ」と。やっぱり常習犯だったようです。大団円で終わってよかったよかった。おまわりさんが家まで送り届けるといってくれたので、安心してホっとして駅へ向かい、用事をすませたらもう8時。帰宅したら9時になっちゃうので、出来合いのお寿司を買って帰宅となったのです。

それにしても「冒険が好き」とは。私も、あの住宅地の道を歩きながら、ここを曲がるとどんなお庭のお宅が出てくるのかなと冒険して帰宅することがあるから、おばあちゃまの気持ち、よくわかりましたよ!ちょっとしたロードムービーを体験した気分です。
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Commented by himekagura at 2009-03-12 10:14 x
え、、偉い!東風さん、本当にお優しいですね。私だったら、どうするかなあ、、。帰り道は急いでるし。困りますよね。
もう遠い遠い昔のことですが、大学生の頃、彼氏とデートで待ち合わせ場所にいたところ、そんな感じのおばあちゃまに話しかけられ、道を尋ねられたのですが、待ち合わせ場所を動くわけにいかず(なにしろ昔のことだし、携帯もないから、、)おばあちゃまに「わかりません。」と断ってしまったことを思い出します。もう○十年も前のことなのに、今もその事を思い出すと軽く罪悪感を感じてしまう私です。あのおばあちゃん、ちゃんと家に帰れたかしら、、。
東風さんのような親切な方に出会えて、そのおばあちゃまはラッキーでしたね。
Commented by eastwind-335 at 2009-03-12 17:30
himekaguraさん、こんにちは。

いや、もう、ほっておけない、という感じでした。それに一人だったし。一緒に派出所へ向かいながら、このあたりの人じゃなかったらどうしよう、と内心ドキドキしていたので、派出所ですぐに解決してよかったです。

私もデートだったら、どうしたかなあ(思案中)。
Commented by akberlin at 2009-03-12 22:16 x
うわあ、東風さん!エラい!
・・・でも放っておけないというのもわかります。
いいことしましたね。「わかりません」でささーっと
逃げてしまうこともせずに。(ワタシならそうしちゃってた
かも・・・。)
Commented by pepe at 2009-03-13 23:28 x
東風様、いやぁ~ご立派です!私なら・・・本当にどうするか自分でも不明です。でも老人ホームなどに行くときちんとした身なりで口調もハッキリしていてしゃきしゃきされた方なのに実はかなり認知症が進まれてる方がいらっしゃいます。それでも毎日きちんと身を整えておられるので“三つ子の魂”ではないですがきちんとされてた方なんでしょうね。私も将来ちゃんと面倒見てもらえるように身を正さねば・・・。
Commented by eastwind-335 at 2009-03-14 10:04
akberlinさん、こんにちは。

本当に、放っておけなかったんですよ。一軒家ばかりの住宅街でのお夕飯の時間ということもあり、周囲は誰も歩いていなかったし。
帰り道、つらつら思うに、私もいつかそういう風になることだってあるかも、と。いや、自分の出身地とかを言うんだったらいいですけれど、「ゼーベナーはどこでしょうかね」なんて言っちゃったら、みんな困っちゃいますよね。
Commented by eastwind-335 at 2009-03-14 10:06
pepeさん、こんにちは。

本当にほっておけなかったんですよ、そのおばあちゃま。多分、認知症の方だろうと思うのですが、「冒険がスキ」なんて言われると、もう、私はこのおばあちゃまをお宅へ帰してさしあげねば、とますます思っちゃったりして。
私も家と外、しかも外でも気を抜いてる日とそうじゃない時では、何段階もの差がついているので、普段から身なりをきちんとしておかねば、と思いました。
by eastwind-335 | 2009-03-11 22:14 | 日常 | Trackback | Comments(6)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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