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2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは

2008年9月1日(月)

テレビでも新聞でも数日前から「9月1日からは天気が変わります!」と言っていたので、雨天になるのかな、とちょっと心配でした。しかも、前夜から宿泊はJH(ユースホステル)ですから、ニュースをテレビで確認することはできません。目覚めたら晴天でした。

1階の食堂ではそれまで泊まったホテルよりも品数は少ないけれど、数段美味しい朝食が待っていて。

今日はまたまたドレスデン観光。月曜は美術館が休館のところが多いので、この日に開いているところを予めピックアップしておきました。
①ケストナー博物館
②ユダヤ人墓地・ユダヤ人協会
③世界一美しい牛乳屋
④聖母教会
⑤新緑の丸天井
⑥ゼンパーオーパー見学

ね、いつもより見学場所が少ないでしょう?>バートさんへ

私、子供のころ、ケストナーの本をちゃんと読んだわけではなかった気がします。でも名前はなぜか知っていた。中学生ぐらいになって「点子ちゃんとアントン」を読んで、アントンが卵焼きを作るシーンに「どんな味がするんだろう・・・」と想像したのが、覚えている限りで一等最初の彼の本の思い出。あの頃の私にとって、ケストナーの児童文学は登場人物が多すぎて、話の筋よりも人を追うので精一杯、そんな感じがしたものです。今思えば、どんな人が読んでも、誰か一人には共感できる仕組みになっているのですね。だけれど、「主人公の心の動き」を読み取らなくちゃ、という優等生的な読書方法(国語教育の悪しき点?)に囚われすぎていたのかも。そして自分にとってよいことが他者には困ることになることもある、なんてそういう現実を知る前だったから、かな。
オトナになってから読んだケストナーのミステリー(創元文庫に入ってます)三冊が面白くて、それでもう一度読み直したら、今度はケストナーの複雑な面が気になって・・・。
評伝を読むと、実にこの人は複雑な生まれのようですね・・・。

閑話休題

で、すんなりすぐにケストナー博物館へ行ったわけじゃないんです。
まずは、中央駅北口の散策を・・・と。
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2033754.jpgもう秋の空ですね!

すると、心引かれる建物があるんですよ~。旧東ドイツ時代のものじゃないかしら?
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2036434.jpg貸し自転車がずらーっと並ぶその先には・・・

2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2038459.jpg映画館だったようです。駅の傍に映画館があるのは、旧東ドイツではよくあることだったのでしょうか?


2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2040499.jpg今日もトラムに乗って・・・Neustadtへ!





サークル状になっているArbert Platzで下車。どれを渡ったらいいのか迷うほど放射線状に伸びる横断歩道の一つを渡ると・・・

2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_20461286.jpg

あら、一部だけ壁の色が違いますね。


2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2047938.jpgこんにちは!エーミール!


2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_204935.jpg合言葉はエーミール!

塀に沿って歩くと
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2050242.jpgステキな看板ですね!この絵はトリアーの挿絵から採ったのかしら?


そして、門を入ると・・・そこは・・・
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_20544364.jpgこんな感じの一軒家でした。もともとはケストナーのおじさんの家の跡地。両親が仕事を持っていた彼はよくこの家に出入りしていたそうです。博物館は2000年にオープンしたそうで、1996年当時の写真が飾ってありましたが、壁にはスプレー落書きが!ケストナーのこと知らなかったのかな?

2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_20563068.jpg1階がケストナー博物館です。内部の写真撮影は一切禁止となっています。
この写真に見える部屋は売店で、その奥の部屋が展示室です。

もっと大きな博物館かと思っていたら、展示はたったの一部屋。しかしケストナーのようにコンパクト(彼は170センチ程度だったそうです)ながらたくさんの引き出しのある部屋でした。博物館は、掲示展示ではなくモジュール式になっています。緑が生涯、黄色が児童書、青がジャーナリストとして、赤が社会批評と色分けされた大小さまざまの引き出しの中に、関連記事(パウチされたコピー)が入っていて、それを読んだり、ビデオをブースで見たり、CDなどで音声記録を楽しんだり・・・。これらのオーディオもすべてがコンパクトに収まってます。そうそう、ケストナーが来ていた背広も展示されていましたよ!
なんていうのかしら、家具屋さんのモデルルームにいるみたい。
このような展示は、今の子供向けにおこなったそうです。普通の展示じゃイマドキの子には関心を持てないらしいですよ~。

そうそう、特別展もあって、モジュールの白や黒、グレーを利用しているんですよ。今年は「翻訳されたケストナー」だそうです。そして、いろんな国の文学の本が飾られてたのですが、なぜか日本は斉藤洋介の「花さき山」と三島由紀夫の「宴のあと」そして川上弘美の「センセイの鞄」でした。これだけは不思議に思い、学芸員さんにセレクトの理由を伺ったら、特に深い意味はなく、ちょうど手元にあった本らしいのです。うーん、ケストナーとどんな関係があるのかしら・・・。

そうそう、モラリストとしても評判だったケストナーが編集発行人だったDInguinという子ども向け雑誌のコピーも置いてありました。これがまた、今見てもオシャレな雑誌。いいなあ、当時の子供たち!

さてさて、ケストナーが住んでいた家Koenigsbruckerstr38も近いので、そちらも行って見ましょう・・・。
いや、通りはAntonstrass(博物館のある通り)に繋がっているのですが、38っていうのはかーなーり歩かなくちゃなりません。やっと着いた!
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2121418.jpg

あのピンクの壁が38番地。ここの3階にケストナー一家は暮らしていたそうです。
近づいてみると・・・・!
2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_2123649.jpgそうそう、1階は薬局だったって書いてあったけれど本当だ。
ん?でもこの薬局、もう長いことやっていない感じ・・・。

2008年夏ドイツ温故知新の旅(18):ケストナーさん、こんにちは_a0094449_21253354.jpgこの扉・・・!
ここにも「文化的建築物」のマークが(左壁ににちっちゃく水色のマークが入っているの、見えます?)ついているのに、えー?誰も今は使っていないってことなのかな・・・。


ちょっとショックを受けつつも、ケストナーが子供のころ、つまり20世紀初頭ってどんな街だったのかな、なんて想像してみたりして。この建物の前にトラムの停車場があって、ちょっとしたお店もあったので、ひょっとしたら、このあたりって賑やかだったのかもしれませんね。
Commented by koyorin at 2008-09-29 23:33 x
先日は、拙ブログにお越しくださりありがとうございました。
お言葉に甘えて、お邪魔しました。
読み応えたっぷりの記事が満載で、素敵なブログですね。
(ああ、自分のつたないブログがお恥ずかしい……)
ドレスデンの写真、とっても素敵です。特に駅の隣の映画館。
なんて風情のある建物が残っているんでしょう。
旅行記の続きを拝見するの、楽しみにしています。
Commented by nyf1403 at 2008-09-30 01:28 x
ケストナー・・二人のロッテ(でしたっけ)とサーカスの小人は子供時代に読んだ覚えがありますが、あとのはドイツに来てからだと思います。
二人のロッテのご飯、どんなんだろう、と思った子供でした。。あと、エミールに出てくる彼の母親が作るご飯とかね。
飛ぶ教室が、今のところフェイボリットかなぁ。いつも決まったところでうるうると泣いてしまうんです。
Commented by eastwind-335 at 2008-10-04 07:24
koyorinさん、こんにちは。
お寄りくださりありがとうございました。
お返事遅くなってすみません。

ドレスデンのあの映画館、本当にステキな雰囲気でした。扉を開けて中に入ってみたかったほどです。
サッカーやドラマなど、旅行記が終わる前にいろんなお楽しみが出てきて、なかなか旅行記が進みませんが、まだまだネタ満載の予定なので、どうぞこれからもお寄りくださいね。
Commented by eastwind-335 at 2008-10-04 07:26
nyfさん、こんにちは
お返事遅くなってすみません。

そう、飛ぶ教室はいいですよねー。私もこれを読んで、もう一度ケストナーを読み直すことにしたぐらいです。ケストナーは共働きの子だから、彼も料理とかしたのでしょうね。食事のシーン、どれでもなんだか匂いが漂ってくるようです!
by eastwind-335 | 2008-09-29 15:31 | 旅の思い出08ドイツ夏 | Trackback | Comments(4)

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