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「たえず書く人」

って、一日に何度もブログをダラダラとアップすることもある私のことじゃありません。

私が愛読する辻邦生の奥様であり、美術史家である辻佐保子さんが、辻氏逝去のあとにでた全集の月報に寄せていらした文章をまとめた一冊の本のタイトルの一部です。

「たえず書く人」_a0094449_974137.jpg正確には『たえず書く人 辻邦生と暮らして』(中央公論新社)。2008年4月初版。6月再版。

昨日、職場近くの駅ビルのポイントアップデーにかこつけて入手。全集に入った作品が完成するまでのエピソードが書き記されている1冊で、書評が出たらあっという間に売り切れてしまったようで、私の購入した本の奥付は再版となっていました。
これまでも辻氏はエッセーの形で佐保子氏との日々を綴っていたし、佐保子氏も辻氏の逝去後にさまざまな思い出を綴った本を出したわけで、二番煎じになりかねないこの本は、作品集に収録された作品の完成過程に重きを置いた内容の中に当時の日常の二人の生活の様子が描かれているからか、また新しい印象を持ちました。この全集は発表順に、つまり時系列がきちんとしたもの。それぞれが一話完結となっていますが、通してまとめて読むと歴史家辻佐保子氏の視点も見えてくる、そんな気がします。

詳細は関心のある方には直接読んでいただくことにして・・・・。

さて、その美術史家としての辻佐保子氏の専門は「ビザンチン」
そう、ロレンスが「死後硬直」と言い放った、ジェームス君が「キンキラキン」と喜ぶビザンチン。学生時代は「ビザンチン?むつかしそー」と手に取ることすらしなかったけれども、あの頃、「少佐」を読んでいたら、キャーキャー言いながらも読んだかもしれません。いや、いまからだって遅くないわけで・・・(と自分を励ましておこう)。いまや絶版が多い佐保子氏の著書。図書館で探してみましょうか。

実は、同じ日に購入したのが、『アルカサルー王城』第一巻。青池保子氏の時代もの。
ああ、どこへしまおうか・・・・。今日は「女子になりに行く日」(!)なので、明日あたり大掃除をしなくちゃ。





その本屋で立ち読みしたのが、Number別冊などのサッカー雑誌。
Numberにはポ王子とコブタちゃんはでっかく取り上げられていました。すんばらしい、という評価でした。が、私はそんな内容よりもコブタちゃんネタのところで
長男バラックが、試合では本調子がでないのにホテルでは人一倍元気だったコブタちゃんを「いちゃいちゃしてんじゃねーよっ!」ときつく叱った為に、「兄ちゃん、キツすぎ・・・」と弟一同からシラ~っとした目で見られそうになった。

くだりのところに注目。
だから、負けた試合のあとの反省会は女子抜きで、って私言ったじゃん、と心の中でつぶやきながら読み進めました。

ま、あんだけ兄弟がいたら、一人や二人、兄ちゃんの言うこときかないのもいることでしょう。
「よい子」ラムたんもいまやラブラブウキウキの真っ最中!ま、まさか、そんなことがあったりして・・・とページをめくれどもめくれども・・・
ラムたんはいませんでした!
小さすぎたのでしょうか?とあえて大きく書いておきます。オイロの左サイドバックなのに・・・。
まさか、掲載条件に身長制限があるとか?

Jogiのこともサラリと取り上げられていましたね。もっともっと取り上げられてもいいかと思いましたが、ようするに菊池寛(Number発行出版社の創始者)好みのパフォーマンスじゃなってことなのでしょう。なんせ菊池寛の『父帰る』は「ああいう終わり方」だからなあ。おなじように父ちゃんが帰ってきたとしても、Jogi家ではあんな終わり方しないもん。

で、お次はワールドサッカーグラフィック。これは表紙にラムたんのインタビューがあるとちゃんと書いてありました。インタビューはドイツ人記者。翻訳はドイツサッカーの善き理解者であるアンドーさんです。
ここで、記者がラムたんは試合後のインタビューにもきちんと答えるし・・・と、私のいうところの「負け専コメンター」の一面も評価。nyfさんが教えてくださった「破綻のない」答えっぷりにも話がいってます。それに関連して、ラムたんが「19歳の時には誰とも対等に話ができなかったけれど、いまは違う。チームの中でも自分の発言は重みを増したと思う」とカピテン候補に挙がっていることも踏まえた発言をしてます。
アンドーさんはもともとラムたんをとても評価していて(ラーム神社建立ネタは何度読んでもクスリときちゃいます)、その点でも私は一人勝手に彼に親近感を覚えているのですが、今回の訳もラムたんらしさが伝わってきてよかったなあ。
そうそう、ラムたんは「自分はDFだからね」と結構強調して言ったようです。
ってことは、08-09シーズンのラムたんの目標は「失点の起点にならない」でいいですね?(東風せんせいより)
そのアンドーさんはNumber Webでも長年ドイツサッカーを愛し、応援し、観察してきた人ならではの視点からJogiを正当に評価!いまの私がほしいのは(ドイツ語メディア各社のHPでも載っているような)ピンポイント的な情報ではなくて、ある程度の時間、多分12年の流れの中でのJogi一家の評価なのだ、とwebコラムを読んだ時につくづく思いました。なぜ、ウェブではドイツサッカーのコラムを担当する彼が冊子のほうには出てこないのかちょっと不思議な感じもしましたが・・・。
Commented by nyf1403 at 2008-07-12 15:49 x
辻邦生作品は、最後の小説以外全部、読みました。一番好きなのは連作短編「ある生涯の七つの場所」かな。江戸時代の絵師を主人公に据えたのも好きです。彼が一番最初にパリにいったのは、夫人の留学についていったんですよね。北杜夫がエッセイで、辻邦生のことを書いているのを読んで興味を持った母が読み始めたのがきっかけでした。

ビザンチ・・ここからだったら、遠くはないから見に行きたいけど、まずはやはり日本となっちゃうから。
来週、送りますね。
Commented by himekagura at 2008-07-13 02:30 x
辻邦生作品、遠い昔学生時代に少しだけ読んだのですが、、。懐かしいです。もう一度読み直してみたいなあ。
Numberはチラッと読みました。素人の私にはいろいろ面白かったです。
Commented by 東風 at 2008-07-14 07:53 x
nyfさん、こんにちは。
あの連作についても佐保子夫人が裏話を・・・。なるほどなるほど・・。

北杜夫と辻邦生は旧制松本高校つながりですね。
松本高校跡地に行ったことがありますが、こういうところで親から離れ学生生活を個性的なメンバーと学校生活を送ったら、そりゃあ、人生が豊かになるだろうなと思いました。
Commented by 東風 at 2008-07-14 08:02 x
himekaguraさん、こんにちは。
ぜひぜひ再読を!本は何度読み返してもいいですが、この人の場合は年齢に重ねた読み方もできるので、再読のしがいがあります。

numberは良い雑誌だと思います。文章もしっかりしているし。
でも、もう少し12年ぶりのトーナメントに出たドイツっていうのが取り上げられても・・・・と思うんですけれど。うーん、構成にもう一つ突っ込んだところがあるといいなあと思うこの頃です。ま、贔屓目ということでお許しください。
Commented by akberlin at 2008-07-14 13:12 x
ビザンチン、嗚呼、ビザンチン、ビザンチン・・・。
イスタンブールのブルーモスクとかギリシャとかに多いと聞く
ビザンチン。ワタシはそれ以降の初期ルネッサンスくらいからの
しか習ったことがなくて敷居の高い分野ですが・・・。

あ、NumberのEURO2008特集号を買いました。
表紙が勝ったのを喜んでるスペインなのが気に食わん・・・とか
言いながら「コブタ」とか「アホのポ」とかいろいろ出てたんで
なんとなく・・・。

・・・って本題の辻邦生の話じゃなくてスミマセ〜ヌ河。(イタっ!)
Commented by タピオカ at 2008-07-14 23:30 x
東風さんはじめまして。W杯以来の新参ドイツ代表ファンのタピオカと申します。EURO2008期間中は東風さんの大家族ばんざいシリーズを楽しく拝見してたのですが、コメントのタイミング逃してしまっていつもROM専しておりました。私もNumberのヨギ監督の扱いの小ささはきになりましたね。決勝までドイツをひっぱってきたんだし、もっと評価されて欲しい!そして、

>>長男バラックが、試合では本調子がでないのにホテルでは人一倍元気だったコブタちゃんを「いちゃいちゃしてんじゃねーよっ!」ときつく叱った為に、「兄ちゃん、キツすぎ・・・」と弟一同からシラ~っとした目で見られそうになった。

これはバラ兄ちゃんらしいというか(笑
にいちゃんがたまに弟たちにキツイこと言うのも、トップレベルで闘うきびしさをわかってるからこそでしょうけどね(そんな兄ちゃんが大好きなのですが)。
まだまだユーロ後遺症を引きずっていて、スペ代が表紙を飾るサッカー雑誌を見るたびに複雑な気持ちになりますね・・・でも、そろそろブンデスプレシーズンも始まるし、クリンシが今後新生バイヤンをどう指揮するのかすごく気になるし、彼にはとても期待してます。
Commented by terrarossa at 2008-07-16 00:06 x
東風さんこんばんは!お久しぶりです。
辻邦生!いやもう大ファンでして、静謐な筆致にしびれまくりながら、十代二十代の頃は憑かれたように読んでいたものです。とりわけ女性の描写が大変すばらしく、奥様はさぞかし素敵な方なのだろうなあとずっと思っておりました。これは取り寄せて読んでみなくちゃ。東風さん、ご紹介頂きありがとうございます!
当時書き散らしていた散文らしきものは、今読み返すと悉く「辻」調で、非常に恥ずかしいというか笑っちゃうというか。辻作品、数々の短編や歴史物ももちろん好きでしたが、最も好きな作品が「もうひとつの夜へ」なので、ファンとしてはかなり異端なのかもしれません……
Commented by eastwind-335 at 2008-07-17 05:28
akberinさん、こんにちは。
お返事遅くなりました。
私、日本史も世界史も履修させる高校時代でしたが、世界史の前半部分を持ってくださった先生が古代エジプトあたりに気持ちを集中しちゃったらしく、クラスメートの半分は「ルネサンス?なんだべ、それ?」でした。
美術(史)って、受け手をずーっと待っていてくれる気がします。いよいよ私もビザンチンへ近づいたのかも・・・。
Commented by eastwind-335 at 2008-07-17 05:44
タピオカさん、はじめまして。
お返事遅くなりました。「大家族ばんざい」、戯れに書いたものですが(にしちゃ、ノリノリでキーボードを叩いたのですけれど)お気に召していただけて嬉しいです。私も選手の顔と名前が一致するようになったのは、WM06なのです。
さて、EM。そうなんです!私、昨日も某大手書店のサッカーコーナーで「もっとJogiを!」と思いました。でも、日本の場合、ひょっとしたらJogiをきちんと評価できないかも・・・と思ってみたり。むしろ、ドイツサッカーファンのブロガーさんの記事を巡回するほうが、ずっと意味のある評価、批判を目に出来るような気がします。
昨日の立ち読みでは、どうもJogiも「コブタ、イチャイチャしちゃ、いけまシェん」と言ったようです。コブタちゃん、相当目立ったのでしょうね・・・。
クリンシーのバイヤン改善、いまは「目に見える」所ばかり取り上げられますが、今後はもっと内面のレベルで行われていくことでしょう。私も期待してます!
これからもどうぞよろしくお願いします。
Commented by eastwind-335 at 2008-07-17 06:21
terrarossaさん、こんにちは。
お返事おそくなりました。
辻邦生の静謐な文章、私は大学生になってからのめりこんだのですが、実は中学だか高校の国語の教科書にも載っていたんです。その時は教材にならなかったので、よく授業中にこっそり読んでいたものです。
terrarossaさんの観察力の鋭く、理知的な文章は、辻風の名残なのですね。私は最近の作家も読むようにしていますが、なかなかシックリくるのがなくて・・・。堀江敏幸さんの作品は似たような背景があるからでしょうか、このごろ手に取るようになりました。
実は「もうひとつの夜へ」は未読なのです。佐保子女史の本(つまり全集)にはこの作品は取り上げられていませんが、その分、何かがあるのだと思います。絶版のものは図書館に入っていなかったりするので機会を逸しやすく・・・。でも取り寄せのサービスがわが町にもあるので、週末には図書館で検索をしてみようと思います。
by eastwind-335 | 2008-07-12 08:56 | Books | Trackback | Comments(10)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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