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畳の下の古新聞

やーれやれ、どうにか人が来ても「ちらかってるけれど、どうぞ上がって」ぐらいは言えるようになりました。3時半に水周りの高速清掃員さんがやってきて10分あまりで終わりました。
仕事の都合上、本が増えていくだけでなく紙も多い部屋なのですが、さらに、ちょっと気を抜くと、すぐに雑誌型のDMとかが溜まっちゃうんです。後で見よう、みたいな。いや、それ以上に溜まるのが書店のPR誌。
PR誌には2種類あって、まず、巻頭からその月に新刊が出る著者の新刊に関するエッセーが続き、そして、後ろに連載を何本か載せている宣伝タイプ。それとは別に、読みきりもあるけれど、ほとんどが連載小説。つまり、この連載をまとめて加筆訂正して本にするための発表の場、無料文芸誌タイプ。
前者で私は話題の新刊書を読んだつもりになり、後者の連載では「きっと映画かドラマ化も約束されているんだろうな、最後はどっかの真ん中で何かを叫ぶんだろうな」と思うものもあります。でもこの手のPR誌で私は青池保子と彼女の作品を知ったわけですから、情報源としてはあなどれません。

10年以上前になりますが、日経新聞に「畳の下の古新聞」というエッセーが連載されていました。私たち家族のお気に入りのエッセーでした。実家にいたころは、母親と二人で部屋の片付けを始めると、ついつい「休憩」とどちらかともなく言い出して2年位前の雑誌(母は活字のものが捨てられないタイプ)を二人して読みふけってしまい、ハっとした母親が「これが畳の下の古新聞、っていうことなのよねー」と恥ずかしそうな顔をして、休憩終了を宣言していたものです。
私の住む階の順番は午後というので、何時頃に来るか見当をつけて、2時半までには片付けようと決めたので、作業員が来たときには「どうぞどうぞ」と家に上げることができましたが・・・。今日、午前中から、雑誌を捨てるために切り取る頁、捨てる紙類等を整理していたのですが、まさに「畳の下の古新聞」でした。PR誌は目次だけを見て、まだ手元においておきたいものだけ、ダイニングにのせ、あとはすぐに捨てるよう紙袋に投げ込み、少しまとまったらすぐにマンションのゴミ捨て場へ持って行きました。

ところで、いわゆる学術誌系PR誌では、春から初夏にかけての年度初めにはあらゆる世界のfreshman向けに「推薦3冊」なんていう特集を出すところが多いです。自分が(一方的にせよ)知っている各界人がどういう本を薦めるのか、覗き見的ですが、興味を持ちながらページをめくっています。この手のはなかなか処分できません。
岩波では10年に一度、岩波文庫の中から各人が3冊を選び簡単な紹介文をつける「私の三冊」という特集を組んでいます。今年がその年にあたります。この人とあの人が同じ本を紹介するのに引用する部分まで一緒だった、とか、それぞれのジャンルの第一人者のみなさんが、これらの本に出会ったときどんな想いだったか等々、感心する話が満載。10年前は私より年長の人がほとんどでしたが、今回は、新聞の文化面に登場する自分と同世代の大学教員などもいたりして、彼らの読書体験を知り、つくづく「あー、ワタシって古典を読まないでこの年になってしまったなあ」と大いに反省しました。いや、こういう人と自分を重ねるところで既に不遜なのですけれどもね。
by eastwind-335 | 2007-07-12 16:38 | Books | Trackback | Comments(0)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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