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はじめてのお散歩

職場を出たのが夜8時。最寄り駅へ向かって歩いていたら、駅のほうから犬を散歩させながらあるいてくるおじいさんが見えました。
犬種はコーギー犬なのかな。でもそこまで足は短くないように思いました。夜道でもその白と茶のやわらかい毛並みはよくわかります。
すれ違うときに、何となくおじいさんがこっちを見ましたし、本当にかわいらしい、生き生きとした表情の子犬でしたので、思わず、「かわいらしい犬ですね」と話しかけていました。気づいたら、その子犬は、しゃがんだ私の膝の上ではしゃいで、私の手をペロンペロンなめていました。
まだ3ヶ月ほどの犬で、これがはじめての散歩だったそうです。おじいさんは多分家に帰りたいのでしょうけれど、子犬は私が肩からかけていたバッグをおもちゃとおもったのか、私がよい遊び相手だと思ってくれたのか、すぐに私のところへ戻ろうとおじいさんを引っ張っていくのです。だから10分ぐらい犬と遊んで、ようやく子犬が飽きたころ、おじいさんに「ごめんください」とお別れを伝えたのでした。

アニマルセラピーの効用が広く知られていますが、私は動物で癒されるタイプです。
不思議なのですが、おちこんでいるときに散歩中の犬がこちらに寄ってくることがあるので、遠慮せず撫でさせてもらいます。そうすると、気になっていたことが「大丈夫。今の悩みは小さいことで、自分で負えないものじゃない」と思えてくるのです。
ある御宅に伺ったときは、そこの飼い犬(外犬)が尻尾を振るので背中をなでてあげていたら、いきなりおなかを見せ始め、飼い主さんに「気に入られたようです。おなか、なでてあげてください」と頼まれたこともあります。飼い主にもおなかをみせない猫が私がなでていたらおなかをみせ、そこのお母様から「ずるーい、東風ちゃん。私なんてほとんどおなかみせてくれないわよ」と言われたこともあります。でも、それらの御宅の方には申し上げませんが、大体、そういうときって、私は一人おちこんでいることが多いのです。友達からだけでなく、その御宅の一員であるペットのみんなにも慰められているんですね。





 若くして今の職場に入れたのは本当にラッキーだったのですが、人の流れのよくない構造のところにいます。私も仕事人生としては、この職場に入ったことである意味での「双六の上がり」と思っていたので、経済的に保証されていることだけでも感謝だと割り切って仕事をしていました。
 いつまでたっても、職場の所属部署の中では一番末っ子状態で、まぶしいほど素晴らしいたくさんのお兄さんやお姉さんの中で不惑を迎えようとしていたよ私にも査定があり、予想外ながら好意的な評価を受けることが出来ました。
 査定申請の時点で、私と同じ職位の人全員が申請できなかったこと(部署によっては申請そのものを認めなかったそうです)、評価会議に上げるかどうかの会議で差し戻しになった例があること、評価会議でNOといわれる可能性も十分あることを承知の上で、しかも自分でも自信がなしで申請したので(部署の人が、今出したほうがいいのではないか、と後押ししてくれたのです)、もうダメかなと思っていました。
 実を言うと、評価会議の投票へ上げてもらえたとは、昨日の会議の直前に知ったぐらいです。

 評価会議とある職位以上の人たちでおこなう会議の後は、部署の打ち合わせが入っていたのに、予定時間を1時間すぎても誰も戻ってこない。評価会議の後の会議が長引いたようですが、自分の評価がどうだったのかを含め、なんとなく落ち着かない時間をそ知らぬ顔をして過ごしていたのでした。
 エレベータが忙しく動く音や足音が聞こえ、一番最初に会議から戻ってきた人たちが私の部屋を覗いて嬉しそうな顔をして指でマルをつくり、「おい、OKだったぞ!安心しろ!よかったなあー」と結果を報告してくれたのでした。私は思わず頭を下げていました。
 もちろん、評価会議では、手厳しい意見もたくさんでたそうです。本来、そういうことはNGなのですが、私の部署はお兄さん、お姉さんが隠さずに話してくれるのです。私も聞いておかないと同じ事を繰り返すだけで次の査定時期になってしまうと思うので、今回はどちらかというと私から教えて欲しいと頼みました。
 早ければ3年、遅くても5年のうちに再度査定を受けることになります。「今度はもっと大きな評価会議となってケチをつける人が増えるはずだし、今回のギリギリOKという印象はしばらく残るはずだから、あなたの業績をもっと戦略的にアピールする必要があると思う。ボヤボヤしてられないわよ」という前置きののち、これからどうしたらいいかを真剣にアドバイスしてくれる先輩がいたり、「OKと評価会議で決まったんだ。NOではないんだ。自信を持つんだよ!」と励ましてくれる先輩がいます。自分の足りないところを満たしていけるよう、自分を備えていかなくちゃと思いながら、職場を出たのでした。

そして出会ったのが、生まれて初めて散歩にでかけた犬だったのでした。
by eastwind-335 | 2007-03-02 07:36 | 日常 | Trackback

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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