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スマホ解放席、でも作ったら?

昨日、ジャミロクワイのライブに行ってきました。
数か月前、JKの体調不良でまさかの直前キャンセル、払い戻しになったライブ。どういうわけか、早々に再来日が決まったものです。優先順位があがったわけではないでしょうが、なぜか私たちは、身の丈にあわないアリーナ席があてがわれていました。
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ほぼ満席。
7時ピッタリに会場内の電気が落ち、ライブ開始。
ほかのメンバーが演奏を始めるなか、肝心のJKがなかなか出てこない。じらされる私たちは声を挙げて盛り上げます。

そして
ついに
JK登場!

この前の直前キャンセルは仕方ないなーってJKにスポットライトが当たってステージのフロントに立ったとき、猛烈に思いました。
だって、うちの家人が舞台にいるのか?!と思いたくなるような体型の男性が自由の女神の冠みたいな帽子をかぶっているんだもん。絶対、腰が悪いと思う。尾てい骨から首までヘルニアなんじゃないか?って人の体型。

JKがでかくなった、というのは、直前キャンセルを伝えるyahooニュースのコメント欄に書き込んでいた人が複数名いたので、あらかじめ頭にあったのだけど。そして、私はジャミロクワイの熱烈ファンというよりも、JWaveなどでよく聴いていた程度の90年代に20代だった人にありがちな程度の関心の持ち方だったけど、でも、あのCMに度肝を抜かされた世代でもあり・・・。アシッドジャズというジャンルで括る音楽を聴いていた世代というか。

勝手に私はJKっていう人は小さな人なんだろうと思っていたのでした。小さくて、自分の世界にからこっちを覗いている小さな王様。

この小さな王様は小さな王様のままでした。
半分は新しいアルバムから、残りはCMソングなどで、多くの人の耳に残っている曲(ファンには定番なのでしょうけれど)での構成。飽きさせない。初めて来た私たちだって、ワーってなる感じ。

しかし、私はこの小さな王様ワールドに最初こそ、「ワーっ」てなっていたし、ステージからとっても近かったので(すべてが肉眼で見れた!)最初からずっとスタンディング。すぐにすわりたがる家人も腰痛なのに、アリーナ席だから、と遠慮して立ちっぱなしだった。
ステージ演出も、いかにもジャミロクワイで、宇宙を移動するジャミロクワイ号って感じだった。
この宇宙には小惑星が浮遊していた。

スマホやipad(かなりでかい)っていう名のコスモスが。

撮りたくなる気持ちはわからなくはないのだけど(斬新というよりも、ジャミロクワイっぽさ満開って感じ)、歌が始まるごとに、ライトの色がかわるごとに、JKがこっちへ来るごとにいきなりスマホをポケットから取り出し、両腕を、私が見ている(だって私だってJKの動きを肉眼で追ってるから)方向に伸ばす。

私は比較的視野が広いほうらしく(免許を取る時に知った)、おまけに、ゲシュタルトが異なるものへの反応がちょっぴり早い。つまり、それまでJKの歌声なり、ステージから出てくる音楽や彼の被り物が広がったり縮まったりというのを楽しんでいるところに、視覚的な邪魔が入るわけで・・・。

ものすごくがっかり。

2階席だったらいい。遠いんだもん。もう、肉眼で楽しむというよりも、両端のスクリーンで見て、生の音楽を楽しむという気持ちでライブに参加しているから。
でも、1階アリーナではやめてほしい。みんな大きく取りたいから、ズームをかける。そのズームがかかる様子まで目に入ってくる。
もっと腹が立ったのは、待ち受け画面まで目に入ってくること。私はジャミロクワイを見に来たのに、なんで1曲の間に2度も3度も見知らぬ人の子供の顔とか見せられなくちゃいけないわけよ、っとイラっと。
加えて、隣に立っているうちの家人もスマホやら仕事上持ち歩いているコンパクトカメラを取り出して撮影するもんだから、私は「もっと五感で愉しもうよ!彼を撮って何が楽しいわけ?」と耳元で大声で注意してしまった。周囲には聞こえてないと思うけど、家人は「みんなに聞こえるだろう」って不機嫌に。それでも、それ以後、家人は撮影はしなかった。ただ、こちらが話しかけても愛想がないままでライブ終了。

このとき、ちょっぴり思いました。もう家人とこういう大きな会場でのコンサートに行くのはやめようかな、と。他人が撮影しているのは「ちっ」と思うだけ。でも、家人になると、実際に撮影器具に手を置いて撮影を辞めさせたくなる。せっかくお金払って来ているのに、隣で、自分の知っている人までする、となると、嫌な思い倍増。家人にまで我慢をしなくちゃいけない、っていうのは、本当に嫌だ。

とはいえ、雰囲気を悪くするために彼にチケットを取ってもらったわけではない。自分がもっとのめり込めば、隣のやっていることなんて気にならなかったはずなのに、と自分を責めてしまう私。言わなきゃよかったなーと反省。「本当は撮影したかったんでしょうに、ごめんね」と電車の中で謝ったら、家人が「キミの気持ちもわからなくもないけどさ」という前置き付きで、今のミュージシャン事情を説明してくれました。

いま、CDを買う人は減っていて、音源配信がメインだけど、それほど儲かるわけではない。だから、多くのミュージシャンはライブ収入がメインになっている。だから、集客のために宣伝費をかけざるを得ないけど、限りがある。インスタで、このコンサートはこんなにカッコイイんだ、とわかれば、ほかの国の人までが「行ってみようかな」ということになる、と。だから、撮ってupして欲しいっていうのがいま、大きな会場のコンサートはプロ仕様のカメラ以外は禁止されなくなった理由だ、と。
録画が禁止されているのは、音源配信にかかわることになるからだろうなーと。

実は私たちの視線にどうしても入ってしまう場所にいる人たちには、ipadで1曲の3分の2ぐらいは録画していた女性がいたのでした。それほど大柄な人とも思えず、よっぽど腕の力が強いんだろうなと思わざるを得ない。家人は「あれはルール違反だろうに、通路を往復する係員は咎めなかったよねえ」と家人すら呆れていた。

私は、つくづく思うんですよね。
アリーナっていうのは、肉眼で楽しみ、耳で愉しむ場所。だからチケット代も高いんじゃないのかな。
大脳にグイっと入ってくる情報をより直接的に得られるところ。
そこに、スマホの画面が四六時中入ってくるのは、頭がおかしくなりそう。人間の情報処理能力っていうのは発達できるかもしれないけれど、ある種の限界がある。きっと限界でも生理的には情報処理するのだろうけれど、心理的にはどうなんだろう。限界のなかでヒトは楽しめるんだろうか。
スマホの画面というのは、私にとってはテレビと同じ。つまり、スマホの画面が目に入ってくると、もうそれはwowowでライブを見てるのと同じことになってしまう(少なくとも私にとっては)。
ライブ(コンサート)へ行くのは、遠くであろうと、近くであろうと、見やすかろうと見にくかろうと、自分の目と耳を通して情報が大脳に届くのを楽しみにしているのであって、スクリーンという一枚のプラスティック板を通してではないものを求めて、なわけなのです。

ということで、昨日、私は、家人が私にミュージシャン事情を教えてくれた時に、私の主張を試みてしまいました。
・誰もが撮ってよい時間(曲)を決める。
・アリーナ席には「スマホ・ipad解放席」っていうのを設定する。そこは少しお金を高めに設定する。自分も撮るんだから、他人が自分の目の前で腕を挙げて画面をバーンとおいても文句言わない。宣伝に繋がるっていうんだったら少し安めでもいい。
・絶対撮っちゃいけないゾーンをアリーナ席に作る。少し高くても構わない。
同じ空間を何の道具もなく楽しむというのがライブのよさだったのでは?本来の楽しみ方ができる席、自分の五感を大切にしてもらえる席があってもいいはずだ、って。

2階とかの遠くの席は階段席だからスマホの画面が目に入ることは少ないし、スマホのズームも高々知れているので、逆にみんな、1,2枚撮ったら割と音楽にのめり込む。
まさか、だったわ。アリーナ席のほうが案外ライブを楽しめない、だなんて。

ロック評論家って仕事、いまもあるのかしら?
新聞でも、ライブそのものの評論って減って、社会学的な深読みをするものが増えすぎている気がします。いや、もちろん、社会学的な読みは面白いんだけど。
でも、もっと、そんなことを吹っ飛ばして「ただ、聴いて、身体を揺らして、全身でよかったー!と思いたい」という原始的な喜び(これが行き過ぎると、独裁者劇場になるから注意が必要だけど)に浸れる場所に、どうして私ったらいなかったのかしら?!と思わせるようなライブ評論、最近見かけないなー。読んでみたいなあ。
読んでるのに、私が文章を読み取れていないのかしら?
読んで想像するという能力もスマホによって「ほら、見てみな」的な知覚への暴力で脅かされている感が否めない、そんなことを考えさせられた一夜でした。

あー、お金払って、こんなちんまいコトを考えさせられるなんて、なんだか損した気も(笑)。

いやいや、JKのあの姿を「自分の目で」見たことができたんだから。音楽も「ジャミロクワイ」を裏切らないデキだったし。90分ずっと踊りっぱなしだったのは初めてかも(笑)。来月の健康診断前に「運動しなくちゃ」ってJKのお腹を見て決意したし(爆)。

やっぱり、行ってよかった。

by eastwind-335 | 2017-09-16 08:26 | Musik | Trackback | Comments(0)

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