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本店は触らないでほしかった

子どものころ、デパートといえば、横浜の高島屋であった私。
しかし、小学校も学年があがると、時折、両親に連れられて日本橋の高島屋や三越に行くこともありました。

子どもには決して楽しいところではありませんでした。
しかし、横浜では扱ってないものをすぐに買える場所だ、とか、同じデパートでも店舗で対象とする客層が違うのだとわかってきた大学生になると、さすが、と思うようになりました。

決して「流行り」のものが「流行ってるように」飾られているのではないのだけれど。
接客も押しつけがましくないですし、ゆっくり買い物ができて、両親はいまや横浜を超えて日本橋に出て用事をすませることもあります。
一つには、横浜店は「若い人」のものが多く、老人向けのものは日本橋店に行った方がすぐに入手できるから、と言ってます。
また、接客をする人たちの言葉遣いが母世代には安心できるのだそうです。間違っても「〇〇でよろしかったでしょうか?」なんて尋ねない。

つまり、年配の人たち(ここでいう年配の人たち、というのは最低でも「古稀」を迎えたひとたち)には日本橋は最後の買い物天国だと思うのです。
ところが!先ほど、yahooのトップページに、この日本橋三越が120億円で全面改装と、いうニュースが出ていました。

予想図は、まるで同じホールディングスグループの伊勢丹本店のようで・・・。
私は伊勢丹で買い物をすることが多いのですが、実をいうと、改装してから本店で服を買うことがかなり減ってしまいました。あまり流行に関係のない服をそろえているので、買い替える必要がない時期である(とりあえず、今のウェストサイズを維持する努力を怠らなければ、ですが)とか、今の流行りのスカート丈は短足な私には似合わないだの、パンツの幅が私の太ももには狭すぎるとか(笑)、いろんな理由があるから、でもあるのですけれど、一番の理由は、店内がギラギラしていて落ち着かないから、なのです。どこに私のお気に入りのメーカーがあるかがわかりにくい、というのも一因。

おちついてモノを選ぶことができなくて、あれもこれも買っちゃうという人もいると思うのだけど、安くなくてもいいから妥協せず洋服を買いたいという「お金を払える層」(70歳前後)の人たちがどんどんとデパートから足が遠のいているのは、加齢のせいではなく、その内装のせいではないか?と思うのです。

いま、それなりの値段の服を買うのは大陸からのお客様たちであって、この国に暮らす人たちは「安い服をたくさん」な傾向にあります。そんな中で払うべきものには払う、という発想を持っているのは、正直、母世代から上だと、幅広い年代の女性との付き合いがある私は実感しています。
その「見合うものには財布を開く」世代が「もうここは私たちが来るところではないわね」と思うような内装になりませんように、と思うのです。

改装デザインを担当する建築家のかかわった建物は、私自身、何度か入ったことあります。非常にシャープな感じがする。人工的な都会感を覚える。しゃれています。しかし、この人が「日本橋の老舗」に合うか、というとどうでしょうか?って感じがします。
どうか、ご家族のどなたかが、このお店を愛用していた、など、個人的思いがこのデパートに対してありますように。このデパートの客層を頭で、ではなく、感情で理解していてくれますように。

今回の改装発表は、重文指定をうけたから外側は触れないけど、中はOK、という点と、たぶん「2020年のオリンピック」を見据えて、という「未来志向」の話なのだろうと思います。ま、今は「見合うものには財布を開く世代」も4年たてばデパートとは縁が薄くなる、という現実的な見極めもあってのことでしょう。

つまり、世の中はJJ化していってるってことなんだな、としんみり思いました。

老舗も「元祖女子大生文化」に席捲されるってことなのかな?
学生時代から光×社の雑誌が描く世界には縁がなかった分、赤文字系中年雑誌ができたころには(心理学では30代半ばで「中年」ですから!)、1年は30代、40代とその手の雑誌を買ってみたものですが、相変わらずの赤文字系状態に「ついていけない」と美容院で時折目にする程度となりました。
先日も、もうすぐ私も50代になるんだから、今年は50歳代文化を学ぼう!と、やたらと「私たち50歳です」みたいな見出しになっている赤文字系雑誌をパラっとめくってみたのですが、「読者モデルのみなさんの化粧がコッワく見えるのは、化粧の技術のためなのか、ライティングのせいなのか?」ということをついつい脳内で分析し始めちゃって・・。同僚にその話をしたら大うけだったのですが(そういう彼女たちも非赤文字な人たち)、母からは「そういう先入観で自分の知らない世界を観てはいけない!」と叱責が。

そうだ、楽しみにしておこう。うん。

新しい内装になっても、お年寄りが「ここだったらすぐに買える」という品ぞろえのままでありますように。

新宿伊勢丹みたいに「お年寄りは切り捨て」みたいなことはやめてほしいな。
母が「もう私の行くべきデパートじゃないって思ったわ」と言ったときに、本当に哀しい気分になりました。
高齢化社会は続くんですし・・・。
ま、そういう点でいうと、新宿は幸いなるから、京王デパートや小田急って穴場があるんですよね~。入院用の便利な下着他がそろってますよ(おしゃれな感じではないけどね!)。
by eastwind-335 | 2016-05-23 19:01 | 日常 | Trackback | Comments(0)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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