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図書館でのできごと

本屋をウロウロして、背表紙のタイトルに魅かれて、本を手に取るというのが私の好きな時間。なるべく予約しないで、棚で本に出会いたい、という私は、近所の図書館でも、所蔵確認をパソコンで行わず、そのジャンルの棚を右へ左へと山から里に下りてきた熊のようにウロウロして、「これって面白そう!」と借りるのが好き。
しかし、この日は、時間が限られていたので、パソコン検索をすることに。

図書館の検索機械はキーボード入力式とタッチパネル式があります。
キーボード式検索機械へ向かおうとすると、その手前にあるタッチパネル式機械を前に、まだ小学校前だろうと思われる男の子が、一人でせっせと字を選んで押してます。普通おかあさんがそばにいるはずの、むしろ、おかあさんがその子のために検索をする程度の年齢の子ですので、どうしても「ちょっと違う」と目についてしまいます。
ちら、と目を移すと、その坊や「カートにいれて!」とか言いながらちゃんと予約を完了!!ひらがなを読むことはできる様子。内心「おおー、すごっ!」と思いつつ、私も自分が探している本を検索します。
男の子と私の間にある検索機械に1人利用者が入ってきました。
しばらくすると、男の子が「「しゅっ」てどうしたらいいのかな?」と言っているのが聞こえてきました。
(坊や、誰かに言ってるの?独り言?)と思いながら、検索を続ける私。
何かをタッチしたようですが、納得がいかなかった様子。
「あ、ちがってる」という声と共に、男の子の指が「クリア」を押します。
そんなことまでこの子、わかってるのね!と驚く私。
再び「ねえ、しゅってどうしたらでるの?」という声が。彼の隣で検索をしていた女性がちら、っと坊やの画面を覗き、そのまま機械から離れるのが目の端に入ります。手伝ってあげないの?
「あ、ちがう。わかんない。しゅってどこ?おしえてください」という声がまだ止みません。
その懇願の声に、ついに私が少年の顔を覗きこみました。「わたしが手伝ってもいい?」と言うと、うなづくのです。
そこで私が彼のタッチパネルを触れようとすると、機械へ乗り出すようにして「ぼくがするの」と。
つまり、かれは自分で入力したいらしい。画面に「と」という文字が入力されてます。
「じゃあね、「し」を押して、ちいさな「ゆ」をおして、おおきな「う」を押して」というと、私が言った文字を探し出し押します。
画面の「としゅう」という字の並びをみて、坊やが「ちがうの」という。

「ちがうの」って、どこが違うわけ?

「キミは「しゅう」って入れてほしいんでしょ?」というと、「ちょっとまって」といって、「と」を「とっ」にします。すごいなあ、こんな小さな子なのに。うちの母の携帯メールの文字変換やカタカナ変換よりもずっと高度な技を知ってるね!

「とっしゅう?」「ちがうの、とっきゅう」

むむ?鉄児なのか?!
「じゃあね、「き」とちいさな「ゆ」とおおきな「う」って押してみて」というと、五十音表をジーッとみつめて字を探し出します。「そうだ、とっきゅう。つぎは、じゃーだ」
「え?え?え?」「じゃあっておしたいの」
「じゃあ、「し」に「てんてん」をおして、ちいさな「や」よ」というと、これまた必死に票を見つめて字を探してます。
そこへ、お姉ちゃんらしき小学生が児童書コーナーから登場。弟に「何やってるのよ」と注意口調で声をかけ、私にも「すみません、弟が」とあいさつをします。
「じゃあ、あとはお姉ちゃんにお願いね!」と離れようとしたら、その坊や「でも、ほんがあるかわからない」と私の顔を見ながら「検索」をタッチ。「検索」という漢字を読めないはずなのに(笑)、そのボタンをタッチするなんて、すごーい!

職場のお兄さんがそういえばもう10年前に言ってたな。「3歳で字が読めなくても、アイコンの大体の場所を覚えて、パソコンを使うんだよな」と。

検索結果を見るに、どうもテレビで「トッキュウジャー」という変身もの?が放映されている様子がうかがえます。知らなかった!オバちゃん、勉強になったよ!
坊やは、「あった。でもトッキュウジャーの本がない」と残念そう。まだ平仮名しか読めないのかな?。カタカナで書かれた検索結果を指さし「これじゃないの?」と言ったらお姉ちゃんが「あのね、もう、それ借りたよね?子どもの本だよね」と弟にピシリ。
・・・いや、あなたの弟はまだ本当に「コドモ」ですから!

この男の子はまだ字を自分で書くのは大変なのでしょうけれど、読めるんですね。
それにしても、タッチパネル式の検索機械で自力で検索だなんて(驚)。後期高齢者のうちの父なんてダメだと思うけど!

言語習得って「愛」だよね、愛。トッキュウジャー、すばらしい!
(思えば、うちの甥も「ポケモン」で読み書きを覚えたようですが)

この子のすごいところは、それだけじゃありませんでした!

10数分後、私も検索した本を書架から見つけ出したところ、貸出のコーナーでまたこの坊やと一緒になりました。お姉ちゃん抜きで1人でカウンターに背伸びをして「これ、かりたいの。これはよやく」と。どうも、坊やは1人で冊数ギリギリの本を借りている模様。
カウンターのお兄さんが、これまた好いヒトで、丁寧に相手をしてました。自分でしたがる子だと判断すると、借り出した本をリュックに入れるのを手伝ってあげるよ、と声をかけたり。

本が好きなのね、坊や!
そして、区立図書館の人たちが、まだ義務教育以前と思わしき年齢の利用者も、1人の利用者として大人に対するのと同様に対応しているのが心に残りました。

台風一過後の夕晴れの区立図書館での出来事でした。
Commented by ぷるぷる at 2014-10-07 12:45 x
こんにちわ。図書館は私の心のオアシスです。最近はじっくりと滞在する時間がないので予約も多用しますが、基本は書棚の端からずーっと眺めていって、「ぴびっ」とくるタイトルの本を借りるというスタイルです。
しかし、その坊やすごいですね。最近は生まれた時からパソコンやそういうものがそばにあるので「習うより慣れろ」で使っていくうちにどんどん吸収していくのでしょうね、まして子供だからスポンジのごとく…。辛抱強く見守る親、そして図書館の方々ももえらい・・・。そうやってもっともっと図書館が好きな子になっていってほしいですね。「子供に読書をさせるには親が本を読んでいる後ろ姿を見せろ」といいますが、本好きな私を見てくれたのか、娘は活字の好きな子には育ちました。まあ、マンガに走りがちですが(これは私もです・・・・)。
Commented by eastwind-335 at 2014-10-09 23:22
ぷるぷるさん、こんにちは。
21世紀の子はパソコンがなくなったらどうするのかしら?と思うぐらい、情報検索をしますよね。だからこそ、棚の前を歩き回り、背表紙や手に取った表紙の雰囲気など、本の外観からの情報をキャッチできる人になってほしいです!
お嬢さんも本好きなのですね!私も母から教えてもらった本がたくさんあります。その一方で、10代が終わるころには好みが違うんだなあ~と実感したことも、
一方、父は本を読むのも字を書くのも頭が痛くなる、という教育不熱心な人ですが、実は書棚には私が読んでみたかった、という本もありましたね~。
実は私のミステリーの導き手は弟です。彼がクリスティに傾倒し、全冊文庫本で揃えたのを私も読ませてもらうようになり・・。いまも、私以上に本を量も、内容的にもがっつり読んでいるのは弟です。私なんかよりずっと仕事が忙しいのに~、と弟ながら感心します。
by eastwind-335 | 2014-10-07 06:17 | 日常 | Trackback | Comments(2)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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