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愛すれば分るようになり、分れば見え、その時に見えてくるのは・・・

ちょっと長いタイトルとなりましたが、これは、今読んでいる本の一節から。
著者が文化の美しさを知りうる方法の答えとして、朝鮮時代の文人(両班かな?)の文章「愛すれば分るようになり、分れば見え、そのときに見えてくるのは、それ以前とは同じものではない」を引用した部分です。
この文章は、「この本を書くにあたって」つまり「はじめに」にあたるところの3ページ目あります。
3ページ目にして、「おお、なんて素晴らしい文章を紹介してくれるのでしょう!」と、読むのが楽しくなりました。
翻訳者の知的なそして暖かい文章のおかげで、私は丁寧にこの本を読み進めています。

愛すれば分るようになり、分れば見え、その時に見えてくるのは・・・_a0094449_17192040.jpg「この本」とは、昨秋「1泊2日」の慶州編の時にゲストとして登場したユ・ホンジュン氏の『私の文化遺産踏査記 第一巻』です。日本では2000年から2002年にかけて翻訳が出されています(法政大学出版局)。約4か月前のブログにも書きましたが、近所の図書館で借りようとしたら扱いがないことを知りました。図書館のリクエストがいつ叶うかわかりませんので、先日、思い切って3巻まとめて買っちゃいました(写真は第一巻)。


テレビで「お腹がすいた!」とスタッフに対して子供っぽくすねたユ先生、良きに計らえタイプではありません。本の中でも、なんでも褒めるというわけではなくて、ドライブインの酷いところ、景観を壊すような現代の建物についてハッキリ書いてます。訳者による1巻目の後書きによれば、80年代にはユ先生は民衆美術運動にかかわっていたそうで、決してエリートコースを歩んでいたわけではなさそうです。

自分が見たことも行ったこともない遺跡を踏査しているユ先生の記録(文章)を「つまらない」と思うか、「面白い」と思うか。最後はやっぱり「愛」、と思わなくもなく。巻末には踏査の日程が書かれています。私も結構予定をいれる方ですが、ユ先生すごすぎる。でも、きっと先生には当然のことなのでしょう。一部は学生さんとの踏査だったようで、学生観察もしっかりなさっています。観察する人はなんでも観察対象になっちゃうのね~。
ところで、1巻目は「善徳女王」がらみの話も記されていて、ああ、晩秋の放送前に読んでおいたら「一泊2日」はもっと楽しかっただろうな~。読み終わったらもう一度DVDにダビングしておいた慶州編を見直そうっと。

日本では、残念ながら、この本が重刷されることはないようです。本の奥付は「2000年初版」のまま・・・。つまり、増刷するほど売れてないけれど、でも絶版にはなっていない、という本なのです。このあたり、大学出版会の良いところ。踏査報告はガイドブックじゃないからその内容が「古くなる」ってことはないんですよね(ちなみに本国では1993年から刊行)。
ただ、学術書となるので、敷居が高いのも事実。手にする人は少ないだろうなあ~。
ま、本気で売りたかったら、「イ・スンギも高校時代に読んだ!」とかいって韓国関係の雑誌で紹介したら売れそうな・・・?037.gif

テレビで見た「ユ教授」を髣髴させる翻訳は読みやすいし、難しい内容ではないのだけれど、まだ訪れたことのない半島南部の地であったり、朝鮮半島の知識がないのでただ活字を目で追っているような気がしないわけでもなく。正直、私は古代の朝鮮半島の歴史になるとトンとわからない。お友達のほうが、「善徳女王」とか、「広開土太王」とか、「太王四神記」とか・・・という時代劇をドラマでよく観ているので大体の流れを知っているのです。しかもちゃんと「韓国語読み」の名前で!すごいなー。
こういうのも「愛すれば分るようになり、分れば見え、そのときに見えてくるのは、それ以前とは同じものではない」の一例だと思います。
鬘を被る古代時代劇は、役者の顔の区別がつきにくい・・・ということで敬遠していましたが見てみようかな~。今月号の「スッカラ」は「歴史ドラマでたどる春紀行」がテーマ。たくさんある歴史ドラマも紹介されています。とりあえず、オムテンさんの持ちネタ「善徳女王」がとっつきやすいのかなあ~。でも、じっくり見るのは時間ないし・・と同僚のドラマ好きの方と話していたら、この方から「倍速で見ればいいのよ~」とのこと。字幕が飛ばないスピードで早回ししたらいいそうな。

ま、その前に3冊読み通さなくちゃ(笑)。
by eastwind-335 | 2012-03-01 17:20 | 海外バラエティ:韓国 | Trackback | Comments(0)

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