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21世紀の「ノンちゃん雲に乗る」かも

私は、実を言うと、前世紀最後の5年ぐらいから今に至るまで、日本の小説はあまり読んでいません。最近人気の同世代女流作家も男性作家も全然知らない・・・。いや、名前ぐらいは書評他で知ってるけれど、読んでない。色んな意味で、遅れてます。
が、モルゲンタークに連載される新聞小説やPR誌の連載小説は結構読んでいるんです(途中で辞めてしまうものも、当然あります)。

この数年で、一番の秀作は池澤夏樹の『静かな大地』でしたが、今、モルゲンターク朝刊に連載されている川上弘美の『七夜物語』も静かに読み進めています。新聞を読まない日もあるから、毎回読んでいるわけではないのですが・・・。川上弘美の短編は「クーネル」でも読んでいるのだけれど、長編は初めて。でも新聞小説はある意味、短編連作小説って感がなきにしもあらず。

小学校4年生の「さよ」と「仄田くん」の現実と夢の世界。
最初は『七夜物語』という本の世界に入り込み、その本の舞台である7つの世界を冒険し・・・。
いま、現実に戻ってきているところなのですが・・・。
最初は、うわー、ファンタジー?。ロールプレイングゲーム式「わたし探し」?。小学生版「指輪物語」?なんて思っていたのだけれど、1970年代を生きているのを知り、同じ頃同じ年頃だった私、当時を思い出し、ますますのめりこんでまして・・・。今日の連載部分に、仄田くんの飼い犬エスが出てきて、ふと気付いた。

この小説は、石井桃子さんへのオマージュじゃないのかな?って。
犬の名前が「エス」っていうのは、絶対に石井桃子ファンだ!と思う。というのも、『ノンちゃん雲に乗る』の主人公ノンちゃんのお兄ちゃんがのちに飼う犬は「エス」だもん。

ノンちゃんは、温かい家族の中で良い子に育っているけれど、正直「子供扱い」のために、いつも疎外感を覚えてる。東京にだって、腸チフスの経験があって、「この次ね」と先延ばしされている。悪がきの兄ちゃんが、お母さんとふたりで勝手に東京へ行ったぁ~!と大きな紅葉の木にのぼっているうちに、水溜りに落ち、気付けば雲の上で・・・。そこには、おじいさんとクラスのいじめっ子「大将」がいて・・・。
考えてみたら、さよと仄田くんはそれぞれ、複雑な家族関係のなかで成長しています。仄田くんに欠けているのは勇気。さよも内向きの性格。

夢の世界で自分と向き合い、変わって行く二人。
やっぱり、絶対、21世紀の『ノンちゃん雲に乗る』

『ノンちゃん、雲に乗る』は私が初めて買ってもらった石井桃子さんの本。一緒に買ってもらったのが、壺井栄の『二十四の瞳』。どちらも母も子供のころに読んだ、と知り、とっても不思議な気分がした本。大事に何度も何度も読んだ本。どちらも、母も子供のころ見たという映画がテレビで放映されると知り、ものすごく一生懸命帰宅したなあ、とか、色んな思い出に満ちている本。なのに、何時の間にか手元からなくなってしまい、残念に思っていました。
数年前、仕事で長らく付き合いのあった方から「お礼を差し上げたい」と言われたので、記念に、と石井さんの作品でやっぱりお気に入りだった『三月、ひなの月』の両方が入っている本をいただきました。本棚に大切にしまってあります。
Commented by 村石太マン at 2010-06-03 21:41 x
ベスト動画 映画二十四の瞳 映画予告編 白黒映画 いいですね。私も 子供の頃 この本を 読みました。忘れているかなぁ
テレビ時代の私です。ウルトラマン 仮面ライダー 他 そういう時代の人間です。ノンちゃん雲にのるは まだ 知らないです。ごめんなさい
Commented by eastwind-335 at 2010-06-06 19:15
村石太マンさん、こんにちは。はじめまして。
私もテレビ時代です。仮面ライダーとかキカイダー、弟と一緒に見ていました。
「ノンちゃん雲に乗る」はレンタルができるかもしれません。原作のファンタジー度はググっと下がってしまいますが、両親世代はこういう映画でもドキドキして見ていたのだろうと思います。機会があったらぜひ御覧くださいね。
石井桃子さんは、昨今の「児童文学」または「YA」作家とは違って、子供にもわかる小説を書いていたと思います。今読み返すと、読み手に媚びていないのがよくわかります。
by eastwind-335 | 2010-06-01 21:20 | 日常 | Trackback | Comments(2)

東風のささやかな毎日のささやかな記録


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